「天地人々ワレ一体」は天真会の基本となる思想です。
最近の稽古を通して、今まで全く意識していなかった「人々」の部分が、実はとても重要なのではないかと感じています。
天真体道の稽古では、常にこの「人々」を意識することになります。
天真柔操では、最初に全員が等間隔で大きなきれいな輪をつくります。
剣武では刀で怪我をしないように、お互いに安全な距離を保つために抜刀体制で並びます。
組手では相手が他の人とぶつからないように気を配りながら技をかけるなど、常に周りと自分とを意識している必要があります。
やがて稽古が進んでいくと、徐々に自他の意識が薄れて、どんなに激しく動いても周りとぶつかることがなくなります。まるで巨大な魚の群れのように、全体がシンクロして一つの生き物のようになっていくのです。
「人」というとき、そこには自他の区別がありますが、「人々」になったとき、自分と人が大きな命にふくまれて、絶対的な平等が生まれます。その命の場では、技は技を超えて天意となり、人々を生かす動きになります。
この「人々」という思想は、「隣人を自分のように愛しなさい」と同じく、平和の極意ではないかと思うのです。
人々がひとつの大きな心の体で生きているという。
「天地人々ワレ一体」にはそんな深遠な祈りも含まれているのだと気が付きました。
美加りん
